最近読んだ漫画『私をセンターにすると誓いますか? 1』の感想

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著=若月ジュン『私をセンターにすると誓いますか? 1』を読んだ。

アマゾンで本を物色してたら見つけた漫画で、表紙の娘の目を見た時気づいたら電子版を購入していた。いや、すごい眼力。

以下、作品の感想とか推し活について思うこととか。

私をセンターにすると誓いますか? - 若月ジュン / 【第Ⅰ話】必ず君を幸せにする | マガポケ
「もし本当に私をセンターにしてくれたらーー…結婚してあげる」。国民的アイドルグループ・《メルティース...

グループ内人気最下位女性アイドルの卒業を回避するため唯一たった1人のファンであり義理の兄となってしまった男と共に奮闘する成り上がり系アイドル漫画

読むまで存在自体知らなかった漫画だったけれど、設定が面白いし展開に期待を持ててすごく良い。

作品内で国民的人気を誇るアイドルグループ「メルティーストロベリー」(以下、「メルスト」)。所謂AKBとか乃木坂みたく大人数の女性アイドルで構成されており、これまたAKBと同じく当然のように、所属アイドル同士によるグループ内人気の序列が存在する。
そんなグループ内人気のワースト1位アイドルが、本作ヒロイン・夏野瑞希。彼女が人気最下位な理由はなんといって表情は変化が少なく、喋りも塩対応で動きもガチガチなどといったアイドルらしさが欠けている点にある。イベントで催される握手会で他アイドルが長蛇の列を作る一方、彼女の列だけ常に閑古鳥が鳴いているほど深刻な不人気っぷりだ。
で、グループ内人気最下位の瑞希をたった1人で推すのが、今作の主人公・奥田幸一。彼は瑞希の握手会にただ1人並ぶほどの熱心なファンではあるが、握手会にタキシード姿で現れ求婚を行ったりと中々にヤバいガチファンでもある。そのイカれっぷりは周りのメルストファンからも悪い意味で一目置かれている。

読んでて思ったのは、どちらもよく活動を続けられるなあ、と。
特に瑞希をたった1人で推す幸一くんの精神力と熱量が凄まじい。かつて1人のVtuberを推し、そして離れていった僕からすれば到底真似できない。

1人の推しメン(推しだと文章が崩壊しかねないので当記事では敢えて推しメンと呼称)を常に応援し続けるというのは、実は想像よりも遥かに辛く実行し難い。1人の推しメンを一生推すと心に誓ったとしても、その1人がいつの間にか2人、3人と推す対象は増てゆき、気付けば最初に立てた誓い無かったことになる。しかし推しメンが増えるなんてまだマシな方で、1人の推しメンを推し続けようと意識的に努めたとしても、いつの間にか自身の気持ちが推しメンから離れてしまう場合もあり得る。離れるパターンとして、推しメンへの期待が異常なほど高過ぎて勝手に幻滅してしまうパターン、ガチ恋(推しメンを本気の恋愛感情を抱いてしまう事)したせいで異性の影に敏感になり幻滅するパターン、推しメンから認知されなくて勝手に幻滅するパターンなどなど、まだまだ理由は人の数ほど存在する。少なくとま上のパターンの場合、推しメンの現実とファンが抱く理想像の乖離が心離れの原因としてみられる。それだけそれだけアイドルやVtuberなどの界隈は供給で溢れており目移りし易く、繊細はファンの心は簡単に心変わりし易いのである。
もし万が一、1人の推しメンを心変わりする事なく推し続けられたとしても、推しメン自体が表舞台から去っていく場合だってある。理由は本当に様々で、勇退や結婚などポジティブな退き方もあるし、人気低迷やスキャンダル、重病化や急逝といったネガティブな去り方もあり、その瞬間はいつ何時訪れるか知らない。当然、推す対象が消えてしまえば応援は推しを増やすことだって出来ない。そこにはファンの情熱や熱意は存在せず、ファンはただ推しメンの成り行きを見守るしかない。

「推しは推せる時に推せ」という先人の遺した言葉があるが、先ず以て1人の推しメンを意識し続けることがそもそも難しい。何より推しメンも人間な訳では、生きていればどんなことだって起こり得る。推し活は並の精神力では続けられない、ということが分かっていただけただろうか?

それらの事実を踏まえた上で、本作の主人公・奥田幸一くんの推しっぷりをもう一度振り返ってみる。
彼は推しメンの順位やパフォーマンスが振るわない時でも幻滅する事なく推し続けられるだけではなく、それらの原因を自身の応援が不足しているためとして、決して推しメンのせいにはしない。しかも、自分以外ファンが居ない状況で、且つ人気最上位アイドルを推す大勢のファンが隣に居る状況においても、気を病まず正気を保ち続ける。そしてそれらの状況すらも自身のせいとして考えられる。
彼自身が“健全な人は相手を変えようとせず、自分が変わる。”というアドラーの言葉を地で行っている。
推しを増やさず、推しから離れず、病める時も健やかなる時も、どんな時でも一途に推す。正にファンの中のファン。漢の中の漢。推し活関係なく、人としてこうありたいものだ。

物語は結局は推しメンが引退してしまうことで幕を下ろす、と思ったところ、なんと親の再婚によって幸一と瑞希は家族になってしまう。そして、瑞希をメルストセンターにするため、そして引退を回避するため、家族となった2人が協力する。本当はちゃんと笑えて踊れる瑞希の実力を幸一はどのように引き出すのか。次巻に期待を持たせる形で1巻は締められる。

ほかでは見られない斬新な設定と精神力が強過ぎる主人公が魅力な本作。幸一の持つ黄金の精神を見習うとともに、これから起こりうる気持ちの良い展開には大いに期待したいところだ。

私をセンターにすると誓いますか?(1) (シリウスKC)

「もし本当に私をセンターにしてくれたら――…結婚してあげる」。国民的アイドルグループ《メルティーストロベリー》、人気最下位で卒業寸前の夏野瑞希。
そんな彼女を世界でたった1人推し続ける奥田幸一。絶対に結び付かないはずの2人がひょんな事から、ひとつ屋根の下で最下位からセンターを目指す協力関係に!? まずは卒業回避のための条件、代打出演の生放送歌番組での「夏野瑞希」トレンド入りを目指して試行錯誤――。
本気になった推し×ファンのタッグで、芸能界のスターダムを駆け上がる“ジャパニーズドリーム”ストーリー開幕!!

Amazon.co.jp より

以上、ありがとうございました。

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