『レプリカだって、恋をする。2』の感想

書籍
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↑前作の記事

また一冊読み終えたので感想を書く。
今回読んだ本はこちら↓

榛名丼=著『レプリカだって、恋をする。2』(電撃文庫)

以下、本書のあらすじとか感想とか

あらすじ

レプリカだって、恋をする。2 | レプリカだって、恋をする。 | 書籍情報 | 電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト
「ねぇ。しばらく私の代わりに学校行ってくれない?」 不気味なくらいに優しい素直の言葉が、私を惑わせる...

初めて行った動物園。
初めて行った花火大会。
そして、初めての恋。
出会いと和解の夏が過ぎ、季節は秋へと移る。

部室でいつもの日常を過ごす愛川素直のレプリカ・ナオ、真田秋也のレプリカ・アキ、後輩の広中律子の文芸部3人。彼女たちの前に、元生徒会長・森すずみと元副会長・望月隼が現れる。来訪者2人は文芸部廃部の旨と、廃部を免れるための方法「約1ヶ月後に開催される青陵祭で部誌100冊販売」を告げた。

突然訪れた文芸部存続の危機。昨年青陵祭の部誌販売実績たったの5冊という絶望的な状況。ナオは素直からしばらく登校することを許されたものの、このままでは廃部の運命は避けられない。
そんな状況でただ1人逆境に燃える律子。彼女は元副会長の望月に対し起死回生の一案を打ち出す。それは、同じく廃部の危機に立たされている演劇部との合同公演であった。演目は『竹取物語』。文芸部員全員が演者として登壇し、提案者である律子自身が脚本と台本を作成。さらに劇本編を別視点で描いた小説を部誌として販売。正に双方win-winな秘策であった。

唯一の演劇部員でもある望月は、元生徒会長・森をかぐや姫役に、望月自身を帝役とすることで律子からの提案を了承。幼馴染同士である森と望月の絆の深さを感じた文芸部一行は、演劇部とともに講演に向けて動き出す。
そんなある日、学校上階からとあるビラがばら撒かれた。ビラには「この学校には、ドッペルゲンガーがいる。」の短い一文。ビラを見て動揺するナオ。正体を悟られたと思い犯人を捜そうとするナオを冷静に制止するアキ。犯人探しは犯人にレプリカであることを申し出るのと同じ意味であるからだ。

ビラの一件がありながらも、ナオたちのクラスが模すお化け屋敷を含め、各クラスの出し物の準備は概ね佳境に差し掛かっていた。そんな時、生徒会室で望月が森の不調を追求したことで衝突。ナオは偶然現場に居合わせてしまう。ナオは望月本人から、望月の森への想いと、8月に告げた望月の告白を森が今も保留にしていることを知る。

文芸部廃部の危機。
レプリカの正体を知る者の行方。
二重苦に悩みながらも、レプリカとして生まれて初めて迎える青陵祭。
高揚と苦悶のなか、ナオはとある存在と出会う。

続巻について思うこと

まさか続編が出るとは。
と、思ったのはネットで本書の情報を知った時のこと。

まあ大賞を受賞した作品だし、実際売れて話題になった上コミカライズもされた訳だし。当然売る側としてももう一度書かせたいと思うものだろう。
しかしあの終わり方の続きとなるとちょっと複雑だ。

前作ラストは、レプリカたちが存在の不条理さに悩み苦しみながらも、それでも明るい未来へ歩もうとする綺麗で美しい終わり方だった。あのラストを読んだ者ならば誰もがナオとアキの幸せな将来を願ったことだろう(クソデカ主語)。それでも存在の不条理さは依然として変わってないし、レプリカの仕組みとか原理とかも最後までよく分かっていない。投げっぱなしといえばそうかもしれないが、だからこそ綺麗で美しいままの作品として物語を締め括れたのではないだろうか。というかこれ以上物語が続いても不幸な末路に行き着くビジョンしか見えない。

で、そんな続編である『レプリカだって、恋をする。2』を読んでみてどうだったか。
感想を簡潔に申し上げると「やっぱり不条理だった」である。これ以上の詳細は物語の核心に関わってくるので語らないでおくが、僕が危惧の念を抱いてた展開に近いことが起こった。

しかしながら、今作は文化祭に関連したストーリー構成なだけあってか、前作以上に高校男女による青春模様が描かれている。文化祭といえば学園物の作品における鉄板行事でありながら、体育祭や修学旅行と並んで3本の指に入るレベルの盛り上がるビッグイベントでもある。とりわけ恋愛物の作品においてはその重要性は非常に高く、キャラ同士の関係だけではなく作品の展開までも変えるキッカケにもなり得る。ましてやメインキャラが普通の人間ではないとなれば、当然盛り上がらないはずもない。
続きが不安だと思う方も安心して読んで頂きたい。最後のびっくり展開を含め、期待を裏切らない読書体験となるだろう。

モノローグが良い

前作同様、今作もモノローグが非常に良い。一般的な女子高校生主人公の一人称視点のものと比べて経験と知識に偏りがあるところとか、俗物的ではない純粋さのあるところとか、モノローグの一文一文から「レプリカの少女」っぽさが強烈に伝わってくる。そのやや幼さを含んだ無垢な少女らしさに趣きと味わい深さを感じる。

これが単純に若い読者層に配慮した演出なのか、SFらしさを狙った演出なのか。僕は後者だと思う。

『レプリカ』tier1 りっちゃん

出典:レプリカだって、恋をする。|特設ページ-電撃文庫(https://dengekibunko.jp/special/replica/)

作中最強キャラを決めるとするならば、僕は広中律子=りっちゃんを1番に挙げる。
どう贔屓目に読み込んだって最強はこの娘以外あり得ないだろう。
表紙を飾るナオよりも。今作登場女性キャラである元生徒会のもりりんよりも。その他登場キャラの誰よりもりっちゃんは有能である。本書を読んだ読者の方々ならば今更説明の必要はないだろう。
しかし未読の方々のために敢えてご説明しなければならない(使命感)。りっちゃんがどのくらい強いのか、ざっと保有能力を挙げてみると

情報分析能力
企画力
プレゼンテーション能力
文章力
構成力
演技力
コミュニケーション能力
etc・・・

という具合で枚挙にいとまがない。
社会人である僕が喉から手が出るほど欲しい能力の数々を、なんと高校1年5ヶ月の女子生徒が既に会得しているのである。

作中でも、1人で合同講演を企画・プレゼンを行い、1人で脚本と台本作り、演者として稽古に参加しており、もうYouTuberでもやった方がいいのではないかってレベルのセルフプロデュース能力を見せつけている。その上1人で部誌まで書き上げているのだから最早文句のつけようがない。
もう全部あいつ1人でいいんじゃないかな。

これでもし彼氏でも居てしまえばどの作品の女性キャラの上を取ることさえできる強キャラが完成していたところだった。それにメガネキャラということもありメガネキャラフェチに対して特攻を持っている点も見逃せない。

まあ、つまり何を申し上げたいかというと、未読の皆さまにおかれましては是非りっちゃんの優秀具合に注目して読んでみては如何でしょうか。

まとめ

  • 前作に引き続き不条理な設定
  • 作以上に青春模様が眩しい
  • モノローグが味わい深い
  • りっちゃんが誰よりも有能

さて、本作は誰がどう読んでもまだ物語は続くだろうと思わせる素直の台詞で締められている。2023年7月現在ではまだ何の発表もされていないものの、余程の事が起きない限り続巻が発売されると見て間違いないだろう。
僕としても2作目まで読んじゃったからには3作目以降も続けて読んでおきたい。頼むから余程の事が起きないで欲しい。

レプリカだって、恋をする。2 (電撃文庫)

彼と迎える、秋。忘れられない文化祭の訪れ。《大賞》受賞作、第2弾。

「ねぇ。しばらく私の代わりに学校行ってくれない?」
不気味なくらいに優しい素直の言葉が、私を惑わせる。オリジナルがやりたくないことを押し付ける身代わり、〈レプリカ〉には、手に入るはずもなかったもの。“ふつう”の学校生活を送る日々が訪れた。
文芸部の廃部の危機を救うため、奔走して。アキくんとの距離も、縮まって。そして――。
「ナオちゃん。わたしを見つけてくれて、ありがとう」
秋。私の好きな人と同じ名前をした季節に、忘れられない出会いをした。
第29回電撃小説大賞《大賞》を受賞した、純度100%の青春ラブストーリー。切なく胸を打つ第2巻。

Amazon.co.jp より

↑前作の感想記事↑

以上、ありがとうございました。

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